幼なじみとさくらんぼ


◇◇◇◇


「なんか七海疲れてない?」

学校に着いて席に着くと前の席の祐子(ゆうこ)が心配そうな顔をしていた。


「うん、平気平気」

「ってか髪の毛ボサボサだけど走ったの?」

「ハチのせいで……ね」

「幼馴染みも大変だね」

祐子に労ってもらいながら私はやっと一息ついた。

あれからハチは靴下がないとかスマホがないとか言い出して、やっと家を出たかと思いきや今度は宿題忘れたって。

そこから取りに戻って学校までは全速力。

そりゃ髪もボサボサになるよ。逆にお団子にしてきたらもっとひどかったかもしれない。

休み時間になるとハチは楽しそうにグラウンドでサッカーをしていた。私の席は丁度その光景が見える窓際の位置で目が合うとハチはいつも手を振ってくる。

他の男子は冷やかしたり、幼馴染みとかやらしーとかからかうけどハチは全然気にしない。

むしろ「なんで?ナナとは産まれた時から一緒だよ?」と平然と言うから周りがキョトンする。


私もハチが幼馴染みなのはもう当たり前のことだし、性格も行動も手に取るように分かる。

ハチは本当に犬みたいなヤツだけど。



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