幼なじみとさくらんぼ
「そういえば今日ハチが体育教師になるとか言ってたんだけどお母さん知ってた?」
「えーそうなの?その前に私はあの子が無事高校卒業できるか心配なのよね」
「あーたしかに」
今頃ハチは大きなくしゃみでもしてそうだけど、本当にハチはフワフワしてるからこっちが気が気でないよ。
「でももうそんな将来の話をするようになったなんて早いわね。この前までふたりともあんなに小さかったのに」
ハチのお母さんに手を引かれていた頃が懐かしい。身長だっていつの間にか私の方が大きくなってしまったし、ハチなんていまだに伸びてるから180センチくらいにはなるんじゃないかな。
思えばハチとずっと一緒にいるけど、それが〝いつまで゛なんて考えたことないな。
大人になって『幼馴染みの~』って紹介してる人ってあんまりいないし、社会に出て結婚とか環境の変化でだんだんと疎遠になっていくものなのかな。
それで年に一度の新年の挨拶だけ年賀状が届いたりして、それもなくなって、昔は幼馴染みがいてね、なんてハチが過去の人になっていったりするんだろうか?