幼なじみとさくらんぼ



そして昼休みになりカバンを開けるとあるはずのものがない。ガサカザと探してもないものはない。


「七海どうしたの?」

「……お弁当忘れた」

考えてみれば作った後ハチを急いで起こしに行って、ハチの分は忘れずに持っていったけど自分の分は恐らくテーブルの上……。

最悪。そぼろご飯楽しみにしてたのに。


「私の半分食べる?」

祐子がそっと自分のお弁当を差し出してくれた。

「いいよ。購買でなにか買ってくるから」とポケットに手を入れると今度は財布がない。


「お、お金貸そうか?」

「……いい、ハチに借りてくる……」


もう最悪だよ。お弁当も財布も忘れるなんて。

こんなうっかりした性格じゃないのに。今度はハチの朝寝坊も想定して起きよう。

ハチのクラスは1組で私とは小中高と同じクラスになったことはない。偶然なのかもしれないけど親しい人とはあまり同じクラスにしないって聞いたことがあるからそれかも。

まぁ、ハチと同じクラスになったらそれこそ私の世話焼きが増えちゃうから別の方がいい。



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