幼なじみとさくらんぼ
アクアチェリー



****


それから数日が経って週末。

お母さんとお父さんは朝からよそ行きの洋服を着て、手には大きなボストンバッグ。


「じゃあ、戸締まりしっかりね。あと火の始末だけには気を付けるのよ」

「はいはい。大丈夫だから早く行きなよ。タクシー待ってるんでしょ?」

今日からお母さんたちは1泊2日で旅行に行く。どうせ明日の夜には帰ってくるのになんでこんなに大荷物なのか。

たくさんお土産買ってくるって言ってたけど、どうせ温泉饅頭だしあれ美味しくてつい食べ過ぎちゃうんだよね。


「なにかあったらすぐ連絡しなさい。家のことよろしくな」

「うん。お父さんたちも気をつけて」

私はふたりを玄関で見送った。


さて、残ってる課題でもやろうかな。

今日はひとりだしご飯は久しぶりに出前でもいいかも。お父さんがお金を置いていってくれたし、たまには贅沢しちゃおうかな?


――と、その時。2階の部屋からスマホの着信音が聞こえてきた。

もしかしてお母さんたち忘れもの?いや、あんなに大きな荷物で逆にいらない物のほうがあるはず。

慌てて確認しにいくと着信はハチからだった。


< 50 / 152 >

この作品をシェア

pagetop