幼なじみとさくらんぼ
『はいはい~』
軽い口調で電話に出た。
そういえばハチは今日田村くんたちと遊ぶって言ってたよね。栗原先輩も含めた3対3でカラオケに行くんだとか。
「なにそれ、合コンみたいじゃん」って言ったら「ナナも来れば?サービス券あるから食べ物いっぱい食えるらしい」とハチは食べ物目当てみたいだけど。
相変わらず私を誘ってくる辺りが学んでない感じだけど、もしかしてまた能天気に「一緒に行こう~」とか言ってきたりして。
『あ、ナナ。おばさんたち旅行に行ったんだって?』
おそらくお母さん経由でハチも知ったんだろう。
立ち話大好きだし、ゴミ捨て場で両家が顔を会わせると1時間は帰ってこない。
『うん。さっき行ったよ』
『お土産頼むの忘れちゃった』
『平気だよ。ハチの好きな温泉サブレも買ってくるって言ってたし』
『お、やった!』
あれもバニラ味で美味しいんだよね。ハチの太らない体質を私に分けてくれないかな。
そんなことを思いながら私はペットボトルのお茶を手に取った。そして机に向かい書きかけのノートを開く。
えっと……どこまでやったっけ?
教科書の124ページは終わったから次は……。
『あのさ、今日俺の部屋に泊まりにくれば?』
『!!』
ビックリして思わず口からお茶を吹き出した。