幼なじみとさくらんぼ
ぎゃーノートが……!いや、それはひとまず置いておくとして。今ハチはなんて言いました?
『ナナ聞いてる?夜ひとりなんでしょ?うちにおいでよ』
『……』
一体なにをどう考えて発言してるんだか。
いや、ハチの家には何度も泊まりに行ったことあるよ?小学校低学年まではよく遊びに行ってたし。
そりゃ、ハチの部屋にはほぼ毎日起こしに通ってるけど、泊まるのは話が違う。お互いが良くても一応高校生だし、ハチには彼女がいるわけで。
『行かないよ。私課題やるから切るね』
『え、ちょっと……!』
強引に電話を切ってしまった。
まったく、ハチらしいといえばハチらしいけどさ。いくら幼馴染みで家族みたいだって言っても同じ部屋で寝たらダメな気がする。
こんなこと前は思わなかったのに、最近よくハチとの距離感について考える。
どこまでが違和感のない距離で、どこまでが違和感のある距離なのか。それは私たちの問題じゃなくて周りからの視線だったりする。
『仲よしだね』って笑ってくれる人もいれば『ちょっと近すぎない?』と引く人もいる。
それは歳を重ねるごとに増して、高校生になった今が一番難しい。特にハチに栗原先輩っていう彼女ができてから余計に考えてしまう。