幼なじみとさくらんぼ



今日は風強くないし、ノラ猫だとしても肥料入りの土が入った植木鉢は重いから簡単には倒れない。

……ドクンドクン。

だれかいるかもしれないと思った途端に動悸がしてきた。


た、確かめてみる?いや、もし不審者とか泥棒だったらどうするの?普通に危険すぎる。

お母さんたちに連絡しようか……いや、したとしても駆けつけるには時間がかかる。

もう、なんで私がひとりの時に限って……。
ん?むしろひとりだから狙われてる?

電気は私の部屋だけ点いてるし、たしかテレビでそれは私は今ひとりです。狙ってくださーいって言ってるようなもんだって言ってた。

しかも部屋のカーテンはピンクだし、明らかに女子だって分かる。ヤバい……色々と条件が揃ってきた。


だ、大丈夫大丈夫。

玄関は二重に閉まってるし、裏の勝手口も鍵はかけてある。戸締まりは完璧だから絶対大丈夫……。あれ。

なぜかリビングのカーテンがわずかに揺れてる。


そういえばお母さん、あそこの窓だけはいつも閉め忘れるからよく虫が入ってきて注意してるんだけどまさか……。

よく見ると窓が少しだけ開いていた。

絶対絶命の大ピンチ。

とりあえず私はスマホを握りしめて、すり足で窓に近づいた。あそこだけは閉めなきゃ。

もし庭にだれかいたら簡単に中に入れちゃう……!



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