幼なじみとさくらんぼ



すぐ閉めてすぐ鍵をかけて、なにかあったら警察に電話すれば大丈夫。

私は揺れているカーテンに手を伸ばして、その向こう側の窓を閉めようとした時。

ガラッ!と窓が開いてカーテンの隙間から手が。


「……っ」

あまりの恐怖で声も出ず後ろにのけ反ると、その反動で私はバランスを崩した。

そのまま倒れていく私の体。後ろにはテーブルがあるし、距離的に私の頭はテーブルの角に一直線。 

するとグイッ!と手を強く引っ張られ、私の体がふわりと浮いた。


「あぶな……!」

引き寄せられた私の顔はだれかの胸の中で着地した。


この声、この匂い。
顔を上げるとそこにいたのは……。


「ハ、ハチ?」

「もーなにやってんだよ。心臓に悪いからやめろ」 

なぜかハチのほうが青ざめている。


ハチだ……よかった……ん?よかった?

待って。あの窓から出てきたってことは、庭にいたのはハチだったの?


「ナナが危うく流血するところだった」

ハチが私の頭をなでなでしてる。まだ引き寄せられたままの状態で私は固まってしまってるけど、とりあえず状況を確認しよう。


「ハチ。なんでここにいるの?」

「ん?ナナがひとりだから来た」

「来たじゃないよ。だったらなんで庭にいるの?」

「あー鍵なくしちゃって探してた」

「鍵!?」


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