幼なじみとさくらんぼ
話を聞くとどうやらなくしたのはうちの鍵。
なぜかお母さんがもしもの為にハチに鍵を預けて行ったらしい。そんな話聞いてないし、ついに鍵まで預けるようになったかって感じだけど。
「なくすって……なんで?」
「いや、ナナん家のインターホン壊れてるし、だったらビックリさせようって思ってポケットから鍵出したら落としちゃって」
「……」
「すぐ見つかるはずなのに、なんでかまだ見つからないんだよね」
あはは、とハチは笑ってる。
ビックリさせようって……むしろ死ぬほどビックリしたけどね。不審者で警察に電話するところだったし。
「あのさ、そのポケットからぶら下がってるのなに?」
ハチのズボンのポケットから銀色のなにかがゆらゆら揺れている。
「あ!」
「あ、じゃないよ」
うちのお母さんはいつも鍵にキャラクターの小さいストラップを付けたがるし、きっと鍵を出す時にストラップが引っ掛かってそのままになってしまったんだろう。
よくある、よくある。いや、もっと早く気づこうよ。
「道理でいくら探しても見つからないはずだ。
おかしいなって思ったんだよね」
「もう、驚かせようなんて思うからだよ」
「はは。でさ、中入れて?体冷えちゃった」
ハチの手はたしかに冷たくて、仕方ないからそのままリビングへ入れてあげた。