幼なじみとさくらんぼ
「八島くんに相談……」
「ハ、ハチには言わないで!」
とっさにそんな言葉が出てきてしまった。
言わないもなにも同じ学校じゃ自然に知ってしまうかもしれけど、1分でも1秒でもハチが知る時間を遅らせたい。
「心配かけたくないの?」
「……」
だってハチは自分のことのように怒るから。
私はあまり大事(おおごと)にはしたくないし、男子からの視線も大量に連絡がくるスマホも時間が経てばきっとなんとかなる。
その時間の経過をハチは待てない人だからきっと……。
「大丈夫。とりあえず八島くんの耳には入れないようにしてるから」
「……してるって?」
「七海たちが来る前に田村くんと話してて。田村くんも八島にはバレないほうがいいって。じゃないと暴れるだけじゃ済まないよって」
田村くんがそんなことを……。
学校でハチと一番仲がいいのは田村くんだし、きっと今も必死でハチの耳に入らないようにしてくれてるんだと思う。
「私的には暴れて犯人も突き止めて、あのサイトを運営してる会社ごと破壊しに行ってほしいくらいだけど」
「……はは、破壊はさすがに……」
「七海のためならするでしょ。むしろどんな手を使っても犯人探すよ、八島くんは」
ハチはいつも私の味方で守ってくれたこともたくさんある。だけど怒りのスイッチが入ると歯止めが効かない部分もあって。
心配をかける以前にハチには危ないことをしてほしくない。
ヘンなことに巻き込みたくないし、かやの外にされてたってハチは怒ると思うけど、私が怒られるのはいくらでも耐えられる。
だけど、私のせいでハチが怒られたり、傷ついたりすることだけは耐えられない。