幼なじみとさくらんぼ



本当ハチは食べることが好きだからなぁ。バイキングも行きたがるし男子なのにスイーツも大好物だし。

その太らない体を私に分けてくれって感じだよ。


「ってかライン交換しよー?暇な時連絡するし遊べる時あったらすぐ言ってね」

栗原先輩は可愛いウサミミのスマホを出して、そのキラキラと輝く爪の先で画面をスクロールさせていた。

実はこんな光景は初めてではない。

ハチは昔から可愛いって女子からモテてたし、
バレンタインのチョコの最高記録は56個だった。

背が伸びて声変わりしてからはもっとモテ始めて幼馴染みの私が妬まれることもあった。

ハチは世渡り上手だからそういう対応もうまくて、私の知らない所でフォローしていたのは知ってる。

私はすぐ顔に出るし、言いたいことも言っちゃうし、友達は少なくていいと思う派なんだけどハチは人懐っこいし、悪口も言わないし、友達も多いし。

それが羨ましいと思う時もあったりなかったり。

私の空腹が限界に達してきた頃、ようやくふたりの会話は終わった。


「じゃ私教室戻るね!あ、八島くんじゃなくて瞬くんって呼んでいい?」

「あー全然なんでも」

「えー。なんでもなら瞬でもいいの~?」

「いいですよ。むしろそう呼ばれることの方が多いんで」


ニコリと笑うハチはまさに神対応。

本当に人当たりがよくて好かれる要素は完璧なのに、なぜか中身は少し抜けている。

たまに嫌な時とか断りたい時ないのかなーって
心配になるよ。そこまで世話を焼く気はないけどさ。


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