幼なじみとさくらんぼ



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「ねぇキミもやってみなよ!スカッとするよ?」

なぜか今私がいるのは駅前のバッティングセンター。

あのあとフラフラしている私のことが気になって引き返してきたらしい。私の沈んだ顔を見るなり「ちょっとおいで」と強引にこの場所に連れてこられてしまった。


「やったことないので。それより……」

「ああ、そういえば名前まだだったね。俺は松本健二(まつもとけんじ)。鈴宮高校の2年。キミは?」

「岡崎七海……です。佐野南高校の1年」

「七海ちゃんね。俺は普段まっつんって呼ばれてるけど健二でいいよ」


なんでさっき会ったばかりの人とこんな展開になってるのか分からない。

見た目より気さくな人っぽいけど、バッティングセンターで遊ぶ余裕なんてあるわけがない。


「け、健二さんは……」

「さん付けはなしで!あと敬語も。たかがひとつしか変わらないんだし」

「……じゃ健二くんで。呼び捨ては慣れてないから」

「うん。オッケー」

って、こんな話をしてる場合じゃなくて!


「健二くんはなんで私をここに?」

そもそも初対面でいきなりバッティングセンターに行くとか、今時の高校生はこんな感じのノリなの?

私は友達多くないし、みんなでワイワイやるのも苦手だし、男友達も少ないからこういうのは初めてというか……むしろどうしたらいいのか分からない。


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