幼なじみとさくらんぼ



「……シャーペンとハチは違うよ」

もちろん大切なのは同じだけど、同等なはずがない。


「でしょ?〝もの゛っていうのはただの例えであって本当に〝もの゛だって思ってるわけじゃない。私だって彼氏のこと好きだから自分だけのものだって思ってるよ?別におかしいことじゃないよ」


だけどそれは彼氏彼女の関係だから成り立つ話で、幼馴染みの私がハチに対してそんな風に思ったらおかしいんじゃないかな。

今までこんなことで悩んだりしなかったのに、なんで私はハチとの関係性ばかりを考えてしまうんだろう……。

私は浮かない顔をしていると、裕子は再びため息をつく。


「もう、そんなに悩むなら八島くん離れしてみたら?」

……ハチ離れ?


「例えば男子と遊んでみるとか八島くん以外の人と交流すれば七海の中のなにかが変わるかもでしょ?」

「……変わる……かな?」

「少なくても視野は広がるんじゃない?まぁ、私はいまだに七海と八島くんがくっつけばいいと思ってるんだけどね」


最後の言葉は聞かなかったことにしても、裕子の言うとおり私はハチとしか接してこなかったから、視野はかなり狭いと思う。

だから私はハチに対して独占欲のようなものが芽生えちゃったのかな。



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