空の下で
助手席を倒してくれた。


「いやー、翔さんね、昼に冷蔵庫にご飯あるよって言いたくて電話したら、何回かけても出ないから、心配して家行ってくれだってよ、めっちゃ愛されてるね」


そんなに思ってくれてるんだ……


ちょっと……うれしいかも……


「うわー、柚姫も照れすぎだよー」


「そんな……照れてないよ」


ちょっと息が上がってきたかも……


なんでだろ……調子悪いのかなあ


「柚姫?我慢してる?」


「ん……」


目をつぶって深呼吸する。


雪が片手をお腹に添えてくれた。


「ほら、ゆっくり深呼吸……」


雪が道路脇に車を止めてくれた。


「柚姫?いける?ゆっくり深呼吸してみて?」


「スーッハッ……ケホッ…ケホスーッ……ハァッ」


だんだん視界がぼやけて、ふわふわしてくる。


「ちょっと急いだほうがいいね……」


ポケットからビニールを取り出して、口に当ててくれる。


「ゆっくりでいいから、吸って吐いてしてみて」


それを言って、雪は車を急がせてくれた。


病院に着いて、車を止めると、翔が走ってきた。


そして、少し意識がふわふわしつつある私をお姫様だっこした。


「ちょっとだげ意識保ってな……少しの辛抱…」


翔がそっとささやいて、走ってくれる。
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