欲情プール
「でももうウンザリなの!
それに、"もう終わっただろ?"とかって宥めたって、そんなんじゃ伝わらないよ?

ハッキリ、嫌いだって…
迷惑だって言ってよ!」

「女の子にそんな酷い事言えないよ…!」


聡の優しさは…
こんな時に仇になる。

だけどそれは、優しさを履き違えてると思うし…
私の事が好きなら、私だけに優しくして欲しい。


中途半端な優しさは、私にも残酷で。
しかもどこで調べたのか仕事携帯への嫌がらせだったから、ほんとに参ってて。

なのに、付き合って間もない関係だから押し切れなくて…


「……っ、わかった」

悔しさに唇を噛んで諦めると。

聡の家に来ていた私は、いつものようにそこでの家事を始めた。

気持ちを紛らわしてたつもりが、聡には健気に映ったのか…


「聡だけど…
うん、うん…

だけど、こんなことするお前は嫌いだよ!
もうその気持ちは迷惑なんだ…!」

背後から聞こえた電話の声。そして…


「今まで嫌な思いさせて、ごめん…
もう掛かって来ないと思う。

これからはちゃんと、茉歩を守るよ…」

炊事してた私を、後ろから抱きしめて来た。









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