欲情プール
心も、物質と同じで。
抑え付けたり、強い非難(力)をぶつければ…
その分反発を募らせたり、どんどん離れて行ったり、逆効果。

本当に現状を変えたいなら…
悲しみはちゃんと伝えて、それ以上に相手の意見を受け止める。

きっと人の心を動かすのは、そんな事なんだと思う。


だから一旦、聡の要求を承諾して…
私は今まで通りに、でもさり気なく健気に振る舞って。

優しい聡の、情に訴えてみるのが有効かもしれない。

私の事をあんなに溺愛してくれてた聡なら、思い留まってくれるかもしれない…!



だけど。

そう思ってても…
感情なんて、容易くコントロール出来る訳なくて。

いくらクールな私でも、この状況で平静を保つのは難しいし…
策略上でも承諾出来ない!

それにもし策略が仇になったら…



「……少し、考えさせて」


「茉歩!
っ、頼むよ…!
勝手なのは分かってるしっ、最低な男だよ!
だけど慰謝料は充分に用意するしっ、出来る限りお前の条件にもっ、」

「だから承諾してないってば!
慰謝料の話なんて今しないで!」


心が、グチャグチャに叩き潰されて…
頭がおかしくなりそう…!!


< 12 / 289 >

この作品をシェア

pagetop