欲情プール
「はい…
もう少し、待ってもらえますか…?」


いつしか、雨は降り始めてて。

だけど、持っている傘を差す訳でもなく。
屋根のある場所に避難する訳でもなく。

タクシーだけ引き止めると。
雨に打たれている事も忘れて、ただ佇んだ。



大事な接待だし、慧剛は必ず戻って来る。

そう思って、しっかりしようとしても。


2人の会話が、頭の中を駆け巡って…
その処理とショックに翻弄される。




ー「落ち着け、露美」ー

見覚えのある顔はもちろん。
ロミと言うその名前から、彼女は紛れもなく聡の不倫相手で。


彼女の言う"彼"は、聡に違いなくて。

そして…


ー「文句があるなら婚約なんて解消すればいいでしょ!?」ー

彼女は、慧剛の婚約者で…!

しかも!


ー「とにかく、部屋に戻るんだ」ー

2人は、このマンションに住んでいて…



きっと。
慧剛との今があるのは、成り行きじゃない。




ねぇ、慧剛…

私に近づいたのは、婚約者に手を出した聡への報復?


どこまでが偶然で、どこからが策略なの?



心が割れそうになる…!


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