欲情プール
だけど。

慧剛は別に…
私を騙してた訳でも、裏切った訳でもなくて。


寧ろ。

ー「今、全っ部聞いたからっ!」ー

聡はあのコと、また関わったんだね?
そして。


ー「私達の仲を引き裂けると思ったら大間違いなんだからっ!」ー

不安で寂しくなったら、結局同じ事を繰り返すの?


なんて。

責めれる場所に心をぶつけてみても…
この途轍もないショックが誤魔化される筈なくて。



またあのコなの?
私の大切なものは、全部あのコに持って行かれちゃうの!?

そんなショックも然る事ながら…


慧剛の人生にとって私は、こんなふうに傍観者でしかなくて。

慧剛自身とも特別な感情なんて、僅かも通わせられずに。

これ程まで何の権利もなく、微かな存在でしかないなんて…!



その現実を目の当たりにして、どうしょうもなく遣り切れなくなってた。


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