欲情プール
欲情プール
「おはようございます」
何事も無かった様に、早めの出勤をした私を…
挨拶を受けたその人は、驚きを纏って見つめた。
「…
もう来ないかと思った」
「いえ、仕事なので。
それとも。
来ない方が良かったですか?」
「……いや」
視線を横に落として、曖昧な返事をする慧剛を。
「でも」
こっちに向き戻させる。
「この状況を、ちゃんと説明して下さい。
…私なら、何を聞いても平気なので」
昨日の夜は。
聡には体調が悪いと告げて、部屋に篭ると…
色々と思い返して、これまでの事と照らし合わせた。
そして、解らない事が殆どだけど…
いくつか解った事も。
まずは…
ー「必ず離婚を阻止してやる」ー
他人は介入出来ないと思う夫婦の問題に、こうも断言した理由に納得。
慧剛は婚約者を挟んで、この問題の関係者だったからだ。
そして聡とあのコを、スカイラウンジの下階で目撃したのも…
彼女がこのマンションに住んでたからだ。
そう言えばあの階は、ゲストルームとオーナーズルームで…
慧剛もそこで寝泊まりしてる。