欲情プール
ここだけは絶対、何が何でも!

絶対に泣きたくなくて。


必死にそれを我慢する為と、耐え難い胸の痛みに…
息を殺して、閉じた瞼に力を込めた。



それは、惨めだからだじゃなくて。

慧剛に罪悪感を持たせたくないから…



大丈夫、昨日推測した事じゃない…


今となれば。

聡の顔を知らない筈の慧剛が、私ぬきの状況で堂々と挨拶出来る時点で…
私達を調べてた事が窺える。



「茉歩を秘書にして、距離を縮めて…
男女関係の噂が立てばいいと思った。

むしろ身体の関係にでもなれば、なおさら。
その方がリアリティも増すし、心も許してくれるだろ。

そしたら露美の気を引けて。
更には茉歩から情報収集も出来る。

何より。
茉歩達の夫婦関係をどうにかすれば、露美とあの男の関係を終わらせられるんじゃないかと思った。

それに不倫された妻なら付け入る隙も充分だし、責任問題も発生しない。

しかもこの場合、旦那の方から責められる筋合いもなければ。
調べた限り、茉歩の性格なら面倒な事態も避けられそうだったし…

一石何鳥も都合いいと思ったんだ。
なかなか、思うようには行かなかったけど…」


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