欲情プール
「はぐらかすな!
いいから答えてくれっ」


「答えてどうなるのっ?
何かが変わる!?」


「変わるよ」


それはどっちに!?

私の気持ちを知ったら…
これ以上深みに嵌らないように、切り捨てられる?

そんなの嫌だし…!
仮にもし、私を受け入れてくれる選択肢があったとしても…


「私は何も…変えたくない」



その答えを受けた慧剛は、酷く悲しそうに見えて…
私まで切なくて堪らなくなる。



「そんなにあいつとの生活を守りたい?」


守りたいのは、慧剛の人生だよ…!

だけど、そんな事を口にするなんて…
慧剛は聡との離婚を望んでるの?


自分は婚約を解消出来ないくせに。
心には前の彼女さんが居るくせに。

私まで独占したいの?


ずるい…

けど、慧剛が望むならそれでもいい。



ただ。

「頭を冷やして、慧剛」


それで本当に、心の枷にならないのなら…

私は慧剛が飽きるまでずっと、陰の存在のまま独占されてあげるから。

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