欲情プール
拾った専務と拾われた秘書


「はい。前職がWEB系の企画営業だったので、それを活かせればと思います」


ここ1週間、私は就活に励んでて…
今日も、ハローワークへ相談に来ていた。

だけど問い合わせをした企業は、ちょうど募集を締め切った所のようで。


とりあえず仕事を始めなきゃ!と動き出したものの…

転職には厳しい4月。
新卒でも就活が難しいご時世に、そう簡単には決まらない。



聡はと言えば。
私の涙に狼狽えて以来、この1週間はそっとしておいてくれてるけど…

だからって、何時までもうやむやに出来る訳じゃない。



尽く、居場所を失くして。
それでも闇に溺れたくなくて、もがいてるのに…

どんどん、沈んでく気がした。




「……はぁっ」

建物内の隣接するフリースペースに座り込んだ私は、溜め息を吐き捨てて。
息継ぎのように酸素を取り込むと…



「大丈夫ですか?」

突然、馴染みのある顔に声掛けられる。


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