欲情プール
「ねっ?聡。
奥サンが仕返ししてるって言ったでしょ?
かわいそーに。
私を選ばないからこんな目に合うのよ。

それで?
ケーゴも仕返しのつもり?

どーゆー事なのか説明して!」



私達の計画で、このコがヤキモチを妬けば…
当然、慧剛の浮気相手が誰なのか気になるだろう。

慧剛の目論み通り、噂にもなってる秘書の私がまず疑われて。

その苗字を知ったら…


きっと、こうなるに決まってた。




その時フッと、隣から冷笑が零れる。

視線を移動した先には、不敵に笑う慧剛が映って…



「ああ、仕返しだ。
ただし。

矛先はこいつらだ」


一度伏せられたその目は…
冷ややかな目に変化して、私と聡を順になぞった。

ドクリ!と。
その瞬間、心臓が衝撃を鳴らして息を飲む!



「俺の女(露美)に手を出して、挙句裏切った男(聡)に報復して。
お前を苦しめた女(茉歩)を弄んだ」

科白に合わせて、私と聡に向けられた視線は…
恐ろしく冷酷で。

その声と口調は嘲っていて。


今まで目にした事のない、耳にした事のないそれは…
それが本性なのかと思わせる。


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