欲情プール
「露美。
全部お前の為の仕返しだ。

お前の愛が欲しかった」


前述の時と反して。
その眼差しと声音は、切なげで優しくて。



演技なのか真実なのかは問題じゃなくて、
寧ろそれを図る余裕すらない…

慧剛の口から、目の前で直接浴びせられたそれらは、あまりにも強烈なショックで…


痛烈に打ちのめされた私は、茫然自失になって…
心だけ、まるで硫酸でもかけられたみたいに痛くて…!

もはや痛いなんてレベルじゃなくて!


灼け溶ける…




「…っ、ウソっ!

だったらなんでまだ関係を続けてるのっ!?
私の愛ならあげてるじゃない!

そんな言葉じゃ…
ゴマかされないからっ!」


「落ち着け、露美。

取り敢えず。
仕事はデキる女だから、使えるだけ使ってただけだ。

何より。
近付く為と、最終的には職も奪ってやるつもりで雇ったとはいえ…
今の労基法じゃ、簡単に解雇出来ない。

だから。
そのうちお前との仲を見せつけて、用済みだって現実を突きつけて…
自ら去るように仕向けようと、タイミングを計ってた所だったんだ。

嘘じゃない」


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