欲情プール
「だけど気が収まんないっ…!

ねぇ謝ってよ!
せめて謝りなさいよっ!」


「露美っ!

もう行こう!
俺も悪かった…!」


「ケーゴじゃないっ!
私はこのオンナに謝って欲しいの!」


喚くそのコに、手を焼く慧剛。

私が謝って、この場が収まるのなら…!



ストンと両膝を床について、
ゆっくりと両手もそこにつくと。

その場は一瞬、沈黙に包まれた。




「すみません、でした…」



慧剛を手に入れた女に、
夫を寝取った女に…

頭を下げる屈辱。


だけどそれも。
慧剛の為なら平気だよ?

ただ…



「2度とケーゴに近づかないでっ!
見つけたらタダじゃおかないから!」

捨て台詞を吐き捨てるそのコを、
連れ去るようにして遠ざかってく慧剛。


頭を下げていた私は…

最後に。
その愛しい姿を焼き付ける事が出来なかったのが…

悲しいだけ。





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