欲情プール




3年後。





「まったく…
どこで育て方を間違えたのかしら。

ねぇ、いつまで親元で甘えるつもりなの?
ご近所さんの目もあるし、いい加減、」

「生活費は充分過ぎるほど入れてるでしょ?
遅刻するから、もう行くね」


あれから、県外の実家に戻った私は。

これでも少なくなった親の小言を日々聞きながら…
淡々と、PCオペレーターの仕事をしていた。


その仕事を選んだのは…
今の私には難しい、"笑顔"を作らなくていいからで。

親元に居座ってるのは…
甘えではなく、小言で戒めてもらう為で。


そうやって、身体はただ生きていた。




でも最近、嬉しかった事が1つ。

人伝てに、聡が再婚したって話が届いた。


既婚者の時でも、かなりモテてた聡だから…
フリーなら余計、女の子がほっとく訳もなくて。

当然と言えばそうだけど。



今度こそ、私の分まで幸せになって欲しい。

改めて、そう願うと共に…


私まで救われた気がした。


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