欲情プール
だけど私は相変わらずで。

溺死しても尚、未練の亡霊の如く…
今でも慧剛を求めてる。




あの日…
マンションを出て、実家に戻る日。


専務室の窓を背に、振り返って見上げずにはいられなかったけど…!

死に物狂いで抑えて。


止まってた足を、一歩前に踏み出した。



慧剛から、ちゃんと離れる事が出来て。
私の想いも、漸く愛になれた気がしたけど…

あの人はもう、完全にあのコのもので。


愛しちゃいけない人だから…
やっぱりこの感情は永遠に、醜い欲なんだと思う。



だからあの時…

ー「…慧剛を愛してるの」ー


本当は一度くらい、
そう口にしてみたかったのかもしれない。


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