欲情プール


「大丈夫ですか?」


不意に掛けられたその声に、耳を疑って。
慌てて映したその姿に…

幻でも、見てるんじゃないかと思った……!



「あ、俺…
こーゆう者です」

差し出された名刺には…


株式会社 大崎不動産
代表取締役社長 大崎慧剛

愛しい、その人の名前が記されていて。



そこには、社長の肩書きも。


ちゃんと目的を成し遂げたんだね…
胸がそっと撫で下される。

だけどそれは、あのコとの結婚が上手くいった事を意味してて…
胸が切なく切り裂かれる…!



「あの。
ナンパ男の我儘だと思って、聞いて下さい。

まずは、もう少し自己紹介させてもらうと…

前に婚約者が居たんだけど、上手く破棄されるように持って行って。
それからはフリーなんだけど、こんな肉食面して片思い歴3年です。

それで、良かったら俺の…


人生の相棒に、なってもらえませんか?」



信じられない、状況に…

とうとう自分が、壊れたんじゃないかと。


混乱まじりに戸惑いながら、瞳を揺らして見つめると…


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