欲情プール
愛してるからこそ…
こんな俺の人生に振り回されて欲しくなかった。


そして、俺は会社を捨てれない。
もちろん病気の親父の事も。


華那ほどいい女なら、相手は俺じゃなくても代わりはいくらでも現れるだろう。

だけど、親父に俺の代わりはいないんだ。


そう言い聞かせるようにして、苦渋の選択に踏み切ったのに…

この政略婚は、一筋縄にはいかなかった。




武生興産は業界最大手で、そのブランド力や影響力は計り知れない。
にもかかわらず最近は、時代錯誤な経営体制や親父以上にワンマンなやり口から経営難に陥ってた。

それにひきかえ大崎不動産は、まだ若い会社で何の力も持ち合わせてないものの。
ここ数年で急成長を遂げて、かなりの資金力を保持していた。


つまりこの結婚は、双方にとって都合がいい訳で…
もともと俺を気に入ってくれてた武生社長は、かなり乗り気だった。

だけど今まで思い通りに生きて来たその娘、露美は勝手に結婚を決められた事に腹を立て。
顔合わせのドタキャンから始まり、ようやくした対面でも悪態をついたり、婚約が破談になるような事を繰り返した。
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