欲情プール
雇用手続きは、その日の内に行われて。

その夜は…
業務説明と親睦を兼ねて、大崎専務と食事をする事になった。



「これからは、社外では堀内って呼ばせてもらうけど。
その名字好きじゃないし、俺の方針なんで…
社内では茉歩って呼ばせてもらうよ?」


「好きじゃないって…
けっこう子どもみたいなんですね?」


「だいぶね。
我儘だから、覚悟しといた方がいいよ?」

なんて、やんちゃな笑顔で荷の重そうな予告。
それも束の間…


「とりあえず茉歩は、今日から俺専属の部下だから、俺の言う事だけ聞いとけばいいよ。
あと、困った事とかがあったら何でも言ってくれ」


サラッと早速の名前呼び。
続いた、何気に横暴な言動。
だけど、頼りになるフォロー。

その一連の流れに、何だか戸惑う。



そして、俺専属の部下…

実は今日、大崎不動産に雇用された訳じゃない。
専務が個人的に経営してる派遣会社で雇用された。

ただ、表向きは大崎不動産の社員らしく。
この雇用形態は、トップシークレットとして口止めされてる。


色んな理由があるんだろうけど…
今となれば、専務自ら求人申込に動いてたのも納得。


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