欲情プール
「ここのイタリアン、すごく美味しいですね。
仕事の延長線なのに、何だか役得です」


「なら良かった。
じゃあスイーツもどうぞっ。

まぁ、これからもちょくちょく来る事になると思うよ。
俺達の行動は常に一緒になるだろうから。

…よし俺は、プロフィテロール(積み上げたプチシュー)にしよーかな。
茉歩は?」


「あ、じゃあ…
ショコラセミフレッドで」



そうして運ばれたプチシューを、嬉しそうに頬張る専務は、とても2コ上の29歳には見えなくて…

またしても子どもみたいだと思って、気持ちが綻んだ。


私がオーダーしたセミフレッドも、びっくりするくらい美味しくて。

テイクアウト出来たら、聡へのお土産に買って帰ろうと思ってすぐ。

今の状況に、ハッと我に返って…!


胸が切り裂かれた。






「味見」


不意に…

スプーンを持つ手が引かれて。
身体を乗り出した専務が、掬ったまま一時放置状態になってたセミフレッドを口に含んだ。


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