欲情プール
そう思って、思わず笑顔が零れた。


「あれ、笑うとこ?」

「いえ、なんだか専務に絆されてっ」

「なら良かった。
だったら尚更、グチでも何でも。俺で良ければいくらでも聞くよ?」

「それ、私のセリフのパクリですか?」

「バレた?」

そして笑い合う私達。


だけど。

ー「たまにはグチ零したり?こうやって聞いてくれる相手がいると助かる」ー

そう言って、先に心を開いて話してくれた専務に、いつしか感化されてた事も手伝って。



「実は、今ちょっと離婚の危機で…」

正直に、さっきの質問に答えた。

ただし重たい空気にしたくないから…
この明るい雰囲気の中、サラッと。


「…それけっこう、深刻だな。
原因は?」


夫の不倫です、なんて。
そこまで情けない事を言える程には、弱みを曝け出せなくて…

苦笑いで答えを濁す。


「…

まぁ、俺に出来る事があれば力になるよ。
必要なら、腕のいい弁護士も紹介する。

大丈夫、いざとなったら…
俺に助けを求めてくれば、必ず離婚を阻止してやる」

力強い目で、言い放つ専務。


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