欲情プール
そんな日々の中。



「茉歩、メシに行くぞ?」


「またですか…」


あの焼肉を食べに行った日から…
塞ぎこんでなくても、頑張り過ぎてなくても、3日に1度のペースで食事に誘って来る専務。


「そう嫌がるな」


「嫌がってません。
それで、今日は何ですか?」


この前は。
専務の苦手なお得意様のお店へ、付き合いで顔出しするに当り。
そのフォローを頼まれたけど…
特に役にたった覚えはない。

その前は。
新規プロジェクトについて、食事しながら説明を受ける筈だったけど…
すぐに終わって、ほぼ雑談だった。



「今日は何も。ただの俺の我儘だ。
茉歩の気に入ってたイタリアンに行こう」


「………」


呆れて返す言葉を失くしたけど…
実際、専務との食事は嫌じゃない。

寧ろ。


この人には弱ってる所を何度も見られたし。
洞察力の鋭い人の前でカッコつけても、無意味だろうし。

ー「相棒の俺には、もっと甘えろ?」ー

そう言ってくれた専務と過ごすのは、心地良かった。


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