欲情プール
すると、専務も…


「俺も。解ってくれる茉歩が、好きだよ」



肉食獣みたいな瞳で。
なのに優しさを纏った眼差しで。

私を貫くように見つめて、そう応えた。


私はまるで、草食動物みたいに動揺して…

躱すつもりでワイングラスに手を伸ばすと。
焦りが出たのか、倒してしまう!


「ごめんなさいっ」

テーブルに広がったワインを、慌てて拭こうとすると。


「大丈夫。俺が」

ハンカチを持った手が塞がれて、
その瞬間。


触れ合った体温に、ドキンと強く鼓動した。



それは私だけじゃないようで…

お互い、驚いた顔で見つめ合う。



だけどすぐに、その店のスタッフが駆け付けてくれて。
その場は何事もなかったように収められた。




まただ…
またこの人の体温に反応してしまった。

初めて握手した時もそうだった。


何でなの…?





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