欲情プール
「実は…
相棒だと思って信頼してた上司に、裏切られたんです」

再発を防ぐべく、敢えて手厳しく表現すると。

途端、専務はキョトンとして。


「…

それは、俺の事か?」


「…

そうですね。
実は昨日の夜、ここに忘れ物を取りに来たんです。

その時、専務の散らかったデスクが気になって…
勝手に覗いてしまった事は、謝ります。

ですが…

あれでは私の立場がありません!」



周りに上手く振り分ける、と言っていたプレゼンの変更作業は…
確かに多少は振り分けたんだろうけど、状況的に殆ど専務が賄ってる様子で。

それだけじゃなく。
私の知らない業務や、しなくていいと言われた通常業務も沢山あった。


ー「人を使うのが得意だからね。
こんなにプライベートが取れるのも、仕事を上手く周りに割り当ててるからなんだ。
ずるいだろ?」ー

なんて。
実際に上手く割り当ててる所を見て来たし、人を使うのが得意なのは間違いないけど…

決して誰かに無理はさせず、それを1人で背負い込んでて。


ずるいどころか、専務のプライベートは仕事だらけだった筈だ。


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