欲情プール
「わかった。
それは俺に任せてくれ。

じゃあ改めて…」

握手のつもりか、そう手を差し出して来た専務が…


「…いや、とりあえず作業を進めよう」

それを戻して、すぐさまプレゼン準備に取り掛かった。


この時その手に触れてれば、専務の体調に気付けた筈なのに…




「茉歩」

不意に呼ばれて、返事をすると。



「ありがとう。

凄く、助かるよ…」


視線をPCに向けたまま。
だけどその声は、すごく気持ちが込もってて…

心にじわり、染み込んだ。










だけど。


ー「必ず離婚を阻止してくれるんですよね?」ー

まさかこの言葉が…

これからの慧剛を縛り付ける事になるなんて、思いもよらずに。


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