欲情プール
「なので、こうなったら最大限のサポートをさせてもらいます。

その代わり、ヤバそうだったら容赦なく中断しますからね?」

厳しく念を押しながらも、ゴーサインを出すと。

専務は、緊迫感を綻ばして…


「…ありがとう」

噛み締めるように微笑んだ。






それから、大急ぎで打ち合わせを済まして…

いよいよプレゼンに臨む時。


次々と会議室に入ってくる、株主や役員達を前に…
緊張感が押し寄せる。


いくら前職で、プレゼンに慣れてるとはいえ…
専務のミスが許されないという事は、私のミスも許されない訳で。

プレッシャーが募ってく。



「ちゃんとやり遂げたら、
茉歩に撫で撫ででもしてもらおうかな」

不意に専務が、隣でボソッと呟いた。


まったくこの人は、こんな時でも…


「そんな事言える元気があるなら、大丈夫ですね。

一緒に、乗り切りますよ?」

逆手に取ってけしかけたけど。


きっとそれは…



緊張を解く為の、専務の我儘。





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