欲情プール
プレゼンでの専務は…

「おお!」とみんなの感嘆を受けながら、
スマートに不敵に、悠々とスピーチしていて。


その熱が過労によるものなら、解熱剤は効かない筈で…
恐らく、高熱に侵されたままの身体なのに。


無事に全うした専務と、何とか役目を果たせた自分に…
もはや感動すら覚えて、泣きそうな気持ちになった。



「流石だ、茉歩。
あの短い打ち合わせで、完璧なサポートだった。
最高の相棒だよ。感謝してる」


「いいえ、お役に立てて光栄です。
それに…

カッコよかったです、専務」


素直な感想を告げると。
ハハッと、照れくさそうな笑顔が零れて…

何だか堪らない気持ちになる。




「じゃあ約束通り、今から病院に向かうけど…
スケジュールの調整は、大丈夫そうか?」


「もちろんです。
裏口にタクシーを待機させてるので、向かいましょう」


ずっと心配を忍ばせて、いざという時に備えてた私に…
専務は「抜かりがないな」と苦笑いした。


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