欲情プール
ただでさえ、専務に心を動かされてたのに…

こんな弱った状態で、その優しさと甘い言葉をかけられたら。


たとえ禁断の世界でも、堕ちて………




ダメっ!!!


唇が触れ合う、その寸前で。
咄嗟に顔を背けてキスを躱した。



「私っ…」


何やってるんだろう…!
これじゃ寂しさに弱って不倫した、聡と同じじゃない!


「ごめんなさいっ…!」

専務の身体を押し退けて、その腕から逃れた刹那。


「茉歩っ!」

ガシッと、手首が掴まれる。


肌に伝わる専務の体温は、
やっぱりこの胸を揺さぶって。

慌ててそれを解こうとした私は…
どこか切なげで、だけど肉食獣の強い瞳に囚われる。


困惑の瞳で見つめ返して。
必死の思いで、何度も首を小さく横に振ったけど…

身体は、その熱を欲してる。



ダメだ、もう…!

そして今度こそ、その欲に流されそうになった時。



「悪い、どうかしてた…

忘れてくれ」


フッと力なく笑った専務の、その手から解放された。


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