欲情プール
「あっ…!」
「おっ、と」
私が抱えてる沢山の資料が落ちそうになって…
専務が支えた、瞬間。
バサバサバサ!とそれは、床に崩れた。
「悪い、間に合わなかった」
「いいえ、すみませんっ…」
資料を拾いながら…
落とした理由がバレてないか、内心焦る。
それは、専務が間に合わなかったからじゃなくて…
支えてくれた手が私のそれと重なって、思わずよけてしまったからだ。
相変わらずその体温は、胸を騒がす。
ねぇ、専務…
あの時どうして私に、キスしようとしたんですか?
考えないようにしてたのに…
考えたくない事が多すぎて、頭のコントロールがままならない。
「はい、茉歩。
それと。
その資料をまとめ終わったら、一緒にメシに行こう」
資料拾いを手伝ってくれた後、久しぶりに夕食のお誘い。
「あ、ありがとうございます。
でも食事は…お断りします」
「断る?…どうして?」