欲情プール
個室とはいえ、その場所は飲食店だったから…
安心して甘えられたのかもしれない。

あの時みたいに、欲に流される心配はないって。



専務はずっと、見守るような眼差しで…

「うん、うん、そうだな…」って。
ただ、ただ、受け止めてくれてた。




夫婦間の事は、その夫婦にしか解らないと思う。
ましてや独身の専務には、なおさら。

だから、下手に言葉をもらうより…
こうやって、存分に言葉を吐き出せる方が有難い。

しかもそれは…
こんなに心を軽くする。






「けっこう飲んだな。
…明日、大丈夫か?」


おかげで途中からは明るい愚痴になって、
それから今日の楽しかった話題で盛り上がって…
お酒も進んだ。


「大丈夫です。
一応、強い方なので」

平静を装って、そう強がったら。

途端。
専務に髪をグシャグシャと撫でられる!


「っっ…!

っ、何するんですかっ」


「だって茉歩、酔ってもクールだからさっ。
なんか、乱したくなった!」

なんて。
怒る私をあしらって、やんちゃな笑顔。

それに絆されて、許してしまう自分が情けない。


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