スノー アンド アプリコット

どんなに喚かれても、手向かわれても、俺は構わず力ずくでアパートまで連れて帰り、自分の部屋に押し込み、ベッドにその身体を組み敷いた。

「あんたこんなことしてどういうつもりなのよ!」

俺に押さえつけられて手足を動かせなくても、杏奈は勇ましい。その黒目がちな両眼は怒りでキラキラ輝いていた。
馬鹿だな。そんな顔したって、俺の征服欲を煽るだけなのに。

俺はどす黒い快感を覚えた。それは俺の中で怒りとない混ぜになって、ゾクゾクした。もう決めた。

「俺はお前の結婚のためにさっき一肌脱いできたってわけか、ああ?」

もううんざりだ。下僕もピエロもたくさんだ。こんなことは終わらせる。

「結婚なんか、できると思うなよ。」
「何の権利があってあんたがそんなこと言うのよ!」
「権利? 俺がお前に費やしてきた時間を考えたら、当然あるんじゃねえの?」
「何言って…」
「因果応報だろ。」

まだじたばたしようとしている。俺はのしかかった脚と、両手を掴む腕に力を込めて、耳元に唇を寄せた。

「なあ、アン。お前、忘れてるかもしれないけど、俺、男だから。力じゃ絶対俺に敵わないよ。」
「ユキっ、ちょ…」

細い両手首を片手でまとめ上げて、俺は空いた手で思い切り杏奈の服の胸元を引き裂いた。


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