蒼の王様、紅の盗賊

〜7〜




視界が真っ白になった後、次に目に映ったのは

頭に描いていた悲惨な光景....の一歩手前だった。





目の前には馬の鼻の頭。
息がかかる程に近くて、ジルの決して多いとは言えない髪を揺らす。


そして地面には───蹲るようにして倒れる砂色の外套を纏った
一人の男の姿。





そう。

ぶつかるかと思われた、さっきの男を乗せた馬は、先ほどの馬と同じように
ジルたちに接触する寸前で止まっていた。



馬を止めるために、急に手綱を引いたらしくて
その反動で、乗っていた男は投げ出されたようである。







「き....君！大丈夫かの？」



ジルは、ひとまず最悪の事態を免れたことに安心して
男に目を向け、慌てたように声を掛けた。


助けようと手を差し伸べようとするが、案の定ジルはぎっくり腰で動けず
そんなジルの代わりに、子供たちが男に手を差し伸べていた。





「.....お兄ちゃん、大丈夫？」



声を掛ける。

するとその子供たちの呼び掛けに、暫くの沈黙を置いた後
唸り声と共に、倒れた男から反応があった。





「うぅﾞ....いってぇ」



良かった。
どうやら生きてはいるようだ。

ジルはそう思い、子供たちに続き声を掛ける。






「君....大丈夫かね？」