蒼の王様、紅の盗賊
「.....!
少し待って下さらんか!?」
バルトのその言葉の途中、ジルは聞き逃してはならないような言葉を聞いた気がして
バルトの言葉を遮った。
「は....はい?」
凄い勢いで話していたバルトは、そのジルの制止の声に
面食らったように言葉を止める。
「話の途中にすまんな。
.....それで君、私の聞き間違いでなかったら───」
ジルは、一旦言葉を止める。
そして数秒の間の後に、決心したように言葉を続けた。
「.....今、アスラと言わなかったかの?」
見ず知らずのこの男から、出るはずもない『アスラ』の名が何故、出るのか?
聞き間違いだったのか?
そう思い、ジルは恐る恐る聞いてみた。
「ん、言ったぜ?
.....って、じいさん!あんたアスラを知ってんのか!?」
バルトは答える。
その答えるに、やはりさっきのは聞き間違いではなかったのだと、ジルは確信した。
「何故....何故アスラの名を知っておる!?」
ジルは、アスラという名に思わず取り乱す。
「何でって....アスラは俺等の仲間だから、知ってるに決まってるだろ」
「......仲間?」
仲間?
アスラの....仲間?
頭の中でジルは考えた。