蒼の王様、紅の盗賊
 
 
 
 
 
(仲間....ということは、盗賊の仲間かの?)




アスラの職業。世間に知られてはいけない正体。

それは盗賊という、悪の道を行く仕事。



アスラの場合は、私利私欲で盗みを働くわけではないのだが
世間から見れば、立派な悪党だ。



そのアスラの仲間ということは、目の前に居る彼も必然的に盗賊ということになる。






(.....そういえば、いつかアスラが言っていたな。

私には、仲間が居るんだと)



その仲間というのが、この男なのだろう。

いつかのアスラの言葉を思い出して、ジルは目の前に立つ男を凝視した。






「な....なんだよ、じいさん!」



暫く黙り込んだ後、自分のことを凝視してくるジルに
バルトは、少したじろぐように言った。





「あぁ、すまんの。

アスラのお仲間か。アスラから聞いたことがある。
君も....月読(レイリス)の一員かね?」




ジルは、頭の中で色々考えた後に
頭の奥底に残っていた曖昧な記憶....アスラが所属しているはずの盗賊団の名を、口にする。






「そうだ!
俺もアスラも、月読(レイリス)の盗賊団の一員さ!じいさん!」




ジルの口にした月読(レイリス)という言葉に、バルトは一瞬驚きを見せ

それから自慢気に、胸を張って大声で宣言をした。





 
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