蒼の王様、紅の盗賊
そう自慢気に言った後、数秒して
バルトは、ハッと気が付いたように目を見開く。
「って、じいさん!
アスラのこと知ってるってことは....此処がアスラの居る場所なのか!?」
「.....あぁ、そうじゃ」
バルトの問いにジルが答える。
そのジルの答えを聞き終わるか終わらないかくらいに、バルトの表情はパァッと明るくなる。
「おぉ、じゃあ此処にアスラが居るんだな!
地図無くした時はどうなるかと思ったけど、どうにかなるもんだな!」
「ちょっ....」
一人舞い上がるバルトに、ジルは声を掛けようとする。
だが、彼は相当に舞い上がっているのか気付いてはいない。
「アスラぁー!迎えに来たぞ♪
なぁ、じいさん!
アスラは何処にいるんだよ?案内してくれよ!なぁ、じいさん?」
バルトはジルの言葉に気が付かずに、言葉を続ける。
浮かれて、周りが見えていないらしい。
そんなバルトの姿に、ジルは静かに唇を噛み締めた。
「....ちょっと、いいかの?」
アスラぁ♪と満面の笑みで浮かれまくるバルトに
ジルは、意を決したように再び口を開いた。
「ん?何だよ、じいさん♪」
「.....すまんが、アスラは今───此処にはおらんのだ」