蒼の王様、紅の盗賊
 
 
 
 
 
 
「───捕まったのだよ。
今日、アスラは....この子たちを助けるために」



「....捕...まった?」




バルトの思考は、その言葉に停止した。

頭が真っ白になり、正常に物が考えられなくなり
意識が、何処か遠くに飛んでいってしまったような感じになった。




そして───
停止した思考再び動き出した時、バルトの顔は蒼白した。

嫌な汗が体を、じんわりと湿らせた。






「つ....捕まったって、どういうことだよッ!?」




「....言葉の通りじゃ。

アスラは今日、自警団の奴らに捕まった。
この子たちを....庇ってな」




ジルは、蒼白した顔で迫るバルトに敢えて目を合わせずに

さっきから何が起きてるか分からなくて、ただ立ち尽くしていた子供たちに目を向けた。






「.....ッ!?

じゃ...じゃあ、じいさん!
今アスラは、今あいつは何処に居るんだよ!?」




「.....恐らく、城の地下牢じゃろう。

罪人は皆、そこに収容されるからの。あの子も、そこに居るはずじゃ」




迫るバルトの言葉に、子供たちに向けた視線を
今度はバルトの方に向け、ジルは答える。

ジルの推測の中で、アスラが今居るであろう場所を。






「────分かった。城の地下牢に、アスラは居るんだな?

....ありがとよ、じいさん」





 
< 117 / 317 >

この作品をシェア

pagetop