蒼の王様、紅の盗賊
「....決まりだな!」
バルトは、にやりと笑いそう言うと屈めていた体を伸ばして立ち上がった。
そして改めて小枝の倒れた先を向き直すと
一つ、大きく息を吸った。
─────ザッ。
大きく息を吸い込み、大きく開いた瞳で先を見つめたかと思うと
今までいた場所から、バルトの姿が消え去る。
そうかと思うと、バルトのその姿はもう既に城の中へと続く道へと消えていく所だった。
彼が今まで居たはずの場所には、地面に虚しく一本落ちた木の枝。
その木の枝の先。
その枝が指していたのは、バルトがどちらに行くか悩んでいた右の道でも、左の道でもなくて
その丁度中間。
城の中へと続く、ど真ん中の道を静かにただ指し続けていた。