蒼の王様、紅の盗賊
 
 
 
 
 
 
(......やめろッ!)



振り下ろされる刄。
蘇る恐怖。

アスラは目を閉じ、耳を塞いだ。











「........アスラッ!」




.....悪夢に囚われるアスラの耳に、名を呼ぶ声が聞こえた。

それは夢じゃない、現実からの声。





「アスラッ!」



もう一度、名をはっきりと呼ばれ
アスラは完全に現実へと引き戻された。

そして悪夢から逃げ去るように、眠りから覚め瞳を開ける。






「アスラッ!無事か!?」



夢から覚めて、彼女の瞳に映るのは鉄格子。

そしてその鉄格子の向こうに......。






「バ....ルト?」




アスラは、そこに居るはずのない仲間の名を呼ぶ。


此処は地下牢。
蒼の王様の支配する城の中。

そこに決して居るはずのないその姿に、眠りから覚めたばかりの瞳は大きく見開かれた。






「よかった....まだ無事みたいだな!」




此処に居るはずのない人.....つまりバルトはアスラのその様子に
ホッと安心した顔を見せる。







「ちょっ....何で!?
バルト、何でお前が此処に居るの!?」




アスラは鉄格子の向こうに居るバルトが、幻でも何でもないことを確認して
驚きを隠せずに思わず叫んだ。







「お....おい、あんまり大きい声出すなよ!」







 
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