蒼の王様、紅の盗賊
「―――結構高いな」
城壁のすぐ下まで来てみると、その高さは思っていたよりも高く感じられた。
足掛かりになるような所もあまりなく、登るのは結構難しそうだ。
「でも、行くしかねぇだろ」
でも、この状態を脱するには登るしかない。
頼れるのは己の体力と.....気合いだけだ。
――――ッ。
バルトは両手を開いて、気合いを入れるようにハァッと息を吹き掛けると
そびえ立つ城壁をガシッと両手でしっかりと掴んだ。
そして力を振り絞り、少しずつ上へと這い上がっていく。
城壁の数少ないでこぼこを必死に捜して手を掛け、足を掛け地道に上に登る。
(.....きつい)
半分くらいまで登った所で、バルトは苦しさのあまり動きが止まる。
力を込める手の指先には血が滲んでくる。
足も込め続けられる力に小さく痙攣し始める。
(落ちるわけには、いかねぇッ)
だが、落ちるわけにはいかない。
落ちて物音がすれば、周りの衛兵が一挙に駆け付けすぐさま御用。
もう登るしか道はない。
「――――ッ」
バルトは絶対に落ちまいと、残った力で城壁にしがみ付いた。
でもしがみ付くのが、精一杯。
上に登るだけの力はない。
「バルト!」